2007/7/8

  • ボルベール 帰郷

まあ、男が語るような映画ではないのでしょう。
女の人生、女の歴史にとって男はスパイスくらいでしかない、ってな調子です。
でもこの映画を作ったのは男、巨匠ペドロ・アルモドバルです。
強く硬く滑舌のよいスペイン語の響き、平板な画面に映りこむ景色、人を食ったような意外な設定と展開、がない交ぜになって、異国情緒と人間関係の本質を色濃く映し出しています。

2007/7/6

前半はすごくいいんです。
貧乏侍が中庭で野菜を育てていたり、川端が社交場になっていたり。
妻夫木聡は相変わらず良いし。誠実さと軽さが匂い立つような「若者」なんですよね、この人の演技は。
家族とのやり取りや「神様」のキャラクターなど、豊かに描かれていたと思います。

しかし、主人公が見出した結論はつまらないものでした。
そしてそのあたりのエピソードの描き方が拙速にして雑。
最後は現代に飛んで、騒々しいエンディングテーマで幕。
もっと丁寧に作ってほしい。
すごーくもったいないと思います。

2007/6/29

よくできた映画だと思う。
セリフ、演技、演出。完成度の高い様式美が作り上げられている。
様式美とは、違和感のある表現も巧みに繰り返すことで、不可欠な作法になること。
日本の映画界でここまでの様式美が完成するのはすごいことだと思う。
しかし(しかも?)テーマはナンセンス。
安っぽく臭みのある筋立てなんてやめちゃえばいいのに。