2007/6/30

  • 選挙

川崎市の市議会議員補欠選挙に立候補した公募による落下傘候補の選挙活動が描かれています。
この方が不思議なのは、なにがしたいのか分からないところ。
そんな議員はたくさんいるかもしれないけど、ちょっと違う。
もう少し分かりやすく書くと、議員になんてならなくても良い、肩書に頼らなくても幸せに生きてゆけそうに見える。
実際、次の選挙には出なかったみたいです。
で、このキャラクターのおかげで、周りが本当に人間臭く、矮小で滑稽で親近感が湧く。
駅頭での無表情、無関心な人々(まれに変に声高な人)。
祭りや集会所での濃密で生々しい人間関係。
団地の外での当たり障りのない笑顔。
多分、家でパーソナルにテレビを見ている大衆。
選挙事務所での口さがないおしゃべり。
彼の選挙活動を通じてすべてのリアルな位相が透けて見えてくる。

2007/7/1

松本人志の初監督作品。
上から目線で何か言ってみたい、と多くの人が思うのではないでしょうか。
友達や兄弟が初めて挑戦したものに気安くダメ出し、みたいに。
途中、というか終わりの方で「ここからは実写で・・・」という変化にはどんな意味があるのでしょうか。
ヒーローの日常みたいなものか。
前半部分はですね、誠実さが軽んじられ、自らも「空気を読んで」面映くもてあまし気味で、それでも最低限の責任感と誇りによって惰性で働き続け、それでいて何かあると期待もしてなかったくせにタテマエを盾にバッシング。
中途半端に祭り上げられてしまった人の日常が描かれてます。

近未来とかじゃない、パラレルワールドを描いた作品としては非常に丁寧で効果的で凄いと思う。

2007/06/24

イラクにおけるアメリカ兵士の非道ぶりを描く映画。
現在進行形の紛争を取り上げているだけに、過去に報道された内容なども呼び起こされて生々しい。
ストーリーは勧善懲悪、あだ討ち、判官びいきとありふれてますが、しつこいですが生々しい。
出てくる民族はアメリカ人も含めて、みんな宗教に赦しと救いを求めている。
どんな残虐非道も赦せると本当に思っているのでしょうか。
バカなことはやめて(日本人も)とっとと帰ってほしい。

2007/06/22

類まれなる射撃の名手が巻き込まれる陰謀、そして復讐。
要約して最後だけ語ると「法で裁けないなら銃でかたをつけてやる」ということだな。
銃礼賛ですね。
「バカにハサミ」ということわざはないのか、アメリカには。
「鬼に金棒」しかなさそうだな。
少なくとも自分の周りは銃がありふれた世界ではないので、まさにゲーム感覚で見ることができる映画なのだが、銃が身近にあるとどんなもんなんだろうか。
まー、ゲーム感覚なんだろうな。

2007/6/9

オリバー・ストーン監督がキューバカストロ議長(国民は彼を「司令官=コマンダンテ」と呼ぶ)に行ったインタビュー・ドキュメンタリー。
カストロは非常に魅力的。若い頃は格好良く、年老いた今も魅力的。
受け答えからも愛すべき人物像が描き出される。
だからこそ色々な疑問が浮かび上がる。
長年の強大な権力は腐敗とは無縁なのか。もしそうならなぜか。
超大国アメリカの目と鼻の先で国体を維持するために国内外にプロパガンダを行う必要があったのかもしれない。
わざわざアフガニスタンイラクに攻め込んだアメリカがキューバはそのままにしているのはなぜか。
資源がないからか。
全く同じ質問を北朝鮮の独裁者に行い、全く同じ答えが返ってくるのを収録して日本人に見せたらどんな反応になるか。
それによって、日本人がどのくら洗脳されているかも分かるかもしれない。

2007/6/10

カザフスタン在住のテレビレポーターであるボラットアメリカ文化の取材を敢行。
すべてフィクションです。
よくここまでやるな、というかやればできるじゃん、というか。
笑えないほど後味の悪さを感じるエピソードも含めて毒がたっぷりです。
冒頭と終わりの故郷の町での彼の笑顔が印象的。
傍目から見れば偏見に満ち溢れ、成熟した文明とは思えない彼の故郷。
しかし、リンゴを食べて追い出される前の無垢な楽園のようにも見える。
より文明的なものを求めて一歩踏み出したつもりの方が、漂流し続けてどこへもたどり着けない、もしくはよりプリミティブなところにたどり着いてしまったようなアメリカが描き出される。